『ataraxia』岡田敦・伊津野重美

岡田敦・伊津野重美共著。
2010年1月1日青幻社刊。3,200円+税。
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写真家・岡田敦と歌人・伊津野重美とのコラボレートによる美しい一冊。伊津野は短歌だけでなく岡田作品の被写体としても仕事をしている。
数限りない音が重なりあった果ての無音のような岡田の写真は圧巻。その一連を眺め進めるにあたり、被写体・伊津野の存在/非在が不思議なリズムを生んでいることに気づく。抽象度の高い連なりのなかに体温のある具象として存在し、させている意図。バランス的に短歌作品がもう少しあってもいいかと思ったが、写真のゆるやかな連なりごとの冒頭に置かれた短歌が、その連なりのあいだじゅう残響していることにも気づいた。
ひとはみな誰かの泉 いのち抱き露草の蒼踏みしめてゆく
伊津野のこの露草の歌が紅あざやかに張り詰めた岡田の彼岸花の写真に添えられていることからも、ふたりが目に見えない深いところで呼応しあっていることがはっきりとわかる。相互補完でもない。ヴィジュアルと言葉のコラボレートの際に陥りがちな表面上の結びつきにとどまらず、それぞれの表現の本質部分で共鳴することにより、より強い核融合を成している。高次元での魂の往来と言ってもいい。










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