『無言歌』河野美砂子
河野美砂子第一歌集。
2004年6月砂子屋書房刊。3,150円。
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著者 http://music.geocities.jp/misakn95/tanka.html
作者はピアノ奏者。ピアノの鍵盤に指をのせてゆくときのような繊細さで世界に向かっている。季節や時刻の空気のうつりかわりを見るときが特に美しい。肉体が世界に出逢った瞬間の結露のような歌、いまにも彼岸に滑り出しそうで踏みとどまっている感じの歌に惹かれた。
こめかみを落としさうになる夕刻の透きとほるまで胡瓜を揉めり
棺(ひつぎ)から木の匂ひせりなきがらに満たされてこの明るむ器
ゆくりなく鳴らす楽器に指先のわがさぐりあつ死者のその音
雪のふる冥(くら)さとちがふ 倍音を聞きとるときの眼とおもへり
胸もとの白をあふるる冬鳥の添ふとき水がわたしを砕く
遠浅をなす睡りにて難破船しづかに波を引きよせてゐつ
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