水滴
なにかが狂ったように突然空気が緩むあたたかさ。曇り空なのに薄着でも平気だった。
昼前、とある紙メディアを見せてもらいに出かける。大きくスペースを割いたいいインタビュー記事で、見た瞬間に思わずにやけてしまった。わたしのことをよく知る人が「ヒナツは昨年からずーっと、このことを言いつづけてきたのにね。今頃ようやく世間が言いはじめたね」とねぎらってくれて、ああそうだな、ようやくこの日が来たのだな、と実感した。わたしはその人が仕事するときの様子をずっと見ていたし、その本気の度合も知っていたのに、役に立つことは結局なにもできなかったのだ。あのとき感じた無力さによって自分ははじめて権力とか力とかいったものを欲したのだった。でもやっぱりそういうものはわたしには似つかわしくないのかもしれない。何もかもが遅かったけどこうして伝わるべきことはいつか伝わるのだ。その記事は大切にスキャニングして保存した。
世界に向かおうとすれば心細いことだらけで、でも強気であたれば大抵のことはどうにかなる。ただそれは、周囲に力強く支えてくれるひとたちがいてくれるからだ。みんなずっとそばにいてほしい、と願う。
抱きしめてしまいたいのに水滴が震えて弱いわたしをうつす/ひぐらしひなつ


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