02/08/2010

水滴

なにかが狂ったように突然空気が緩むあたたかさ。曇り空なのに薄着でも平気だった。

昼前、とある紙メディアを見せてもらいに出かける。大きくスペースを割いたいいインタビュー記事で、見た瞬間に思わずにやけてしまった。わたしのことをよく知る人が「ヒナツは昨年からずーっと、このことを言いつづけてきたのにね。今頃ようやく世間が言いはじめたね」とねぎらってくれて、ああそうだな、ようやくこの日が来たのだな、と実感した。わたしはその人が仕事するときの様子をずっと見ていたし、その本気の度合も知っていたのに、役に立つことは結局なにもできなかったのだ。あのとき感じた無力さによって自分ははじめて権力とか力とかいったものを欲したのだった。でもやっぱりそういうものはわたしには似つかわしくないのかもしれない。何もかもが遅かったけどこうして伝わるべきことはいつか伝わるのだ。その記事は大切にスキャニングして保存した。

世界に向かおうとすれば心細いことだらけで、でも強気であたれば大抵のことはどうにかなる。ただそれは、周囲に力強く支えてくれるひとたちがいてくれるからだ。みんなずっとそばにいてほしい、と願う。

抱きしめてしまいたいのに水滴が震えて弱いわたしをうつす/ひぐらしひなつ

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02/07/2010

降るものは

トリニータのクラブハウスにて村山祐介選手のインタビュー。物静かな人だろうと予想していたのを裏切って思いのほかよく話して下さるのでほっとした。練習試合翌日のグラウンドは淡々とした雰囲気。顔なじみの2人の記者と情報交換して帰宅する。

コラム「ひぐらし硯」を入稿。今回は柞原八幡宮参道脇に立つ芭蕉の句碑について。この句碑はもともと港町にあった貸席の中庭に立てられていたものらしい。明治時代に開かれた西大分港とその周辺の賑わいの歴史を知っている碑だ。そのあたりのことは来月16日発売の「CONKA」で是非。ベネズエラ戦レポートと西川周作選手の記事も書いてます。

円形の墓地公園をめぐるとき降るものは美し雨もひかりも/ひぐらしひなつ

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02/06/2010

起動しない機械

続けざまに原稿を書いてほとんど動かず。午後の遅い時間に、ひさびさに会う友人に誘われて夫の人と3人でカフェカンタベリーに出かける。マヘリア・ジャクソンのCDを貸してもらっただけでも収穫だったのに、短歌の朗読をしている人がいるという情報を獲得して喜んだ。

なでしこJAPANの方は間にあわなかったが夜、東アジア選手権中国戦を観戦。溜息。前線でもっと工夫を。

ひさしぶりに会う人に会うと前回会ったときのことなど思い出そうとして、そう言えば1年前とは世界がまったく違って見えていることに気づく。大切だと思っているものを欠いたり得たりしながら、日々は続いてゆくのだな。

起動しない機械のような週末の朝にはひとり雨を降らせて/ひぐらしひなつ

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02/05/2010

花零す樹

カメラマンの浅田さんの車で竹田まで「セーノ!」3月号特集のための取材。おひなまつりを来週に控えた城下町は、準備はまだまだなのにどこかしら華やいでいた。天才としか呼べない小学6年生男子の人形作家に出逢ったり、段取りが次々に上手く運んだりして不思議な一日。浅田さんの一言で短歌のあたらしい展示方法も思いついたし。竹田はいつ来ても穏やかなのに、どこかふつふつと体を活性化させる町だと思う。

訳あって言えぬのならば花零す樹となれ今朝の蒼穹遥か/ひぐらしひなつ

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02/04/2010

きさらぎの通奏低音

立春。寒い。ヒーターのスイッチを入れたまま仕事をしている。漠然とした感じの腹痛がずっと続いていて、冷え症にとってデスクワークの一日は憂鬱だ。

ひんやりとした父の大きな机の感触を思い出す。パイロットのインク壜や製図用品や薬のケースが整然と並んでいた机。萩原朔太郎を教えてくれたのも父だった。生きていたらいま何を話しただろう。「そういうことは、あまり気にしなくていい」と、昔のように言ってくれるだろうか。

葱刻む身を支配してきさらぎの通奏低音としての腹痛/ひぐらしひなつ

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02/03/2010

やがて桜に

書かなくてはならない原稿が溜まっていてひたすら机に張りついて過ごした。疲れると題詠blogの詠草をつくる。題詠blog開催中はそういう楽しみがあるのだった。与えられた題によって思わぬ角度から自分の世界観が引き出されるのは興味深い。しかしすでに完走している人がいるというのは…。毎年何人かずつダッシュで百首を駆け抜ける人がいるが、自分にはとても真似できないとその集中力と思い切りに感心する。即詠はせいぜい二首が限界、それ以上に推敲(というより語の定着)に時間がかかる。

来週から寒さが緩むとの予報。もうしばらくの我慢。

言いそびれたままの言葉が色づいてやがて桜になるのでしょうね/ひぐらしひなつ

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02/02/2010

満たされたり満たされなかったり

ぎりぎりまで原稿を書いて夕刻スタジアムへ。キリンチャレンジカップ2010日本vsベネズエラ戦取材のため。ひさしぶりに会うライターの大先輩や初めて名刺交換する仲間に会えると喜んでいたのだけれど、よく考えてみたらJリーグの取材で一緒になる大分の記者さんたちとも随分ひさびさなのだった。

チケットの売れ行きはよくなかったが、最終的に27,009人が入場。しかし試合内容は、まだまだチームとしてエンジンがかかりきれていないことが露呈するものだった。東アジア選手権3連戦に向けて考える材料は掴めたと思いたいけれど…。ミックスゾーンではそれぞれの反省点が多く語られた。そのもの自体が応援になるような、そんな取材ができたらいいと思う。

仕事を終えて、先に集まっていた仲間たちに合流。関係者とその家族や友人たち総勢14名で賑やかに食事を楽しんだ。細やかに気を遣ってくれるひとたちに囲まれ、今日はいい取材ができたこともあって精神の安らぐひととき。ゆるやかに過ぎてゆく如月の夜はきれいだ。

満たされたり満たされなかったりするものを数えて冬の陽射しのなかへ/ひぐらしひなつ

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